営業資料の締め切りに追われていた同僚が、生成AIに「会社のロゴっぽい雰囲気の画像」を作らせ、そのままスライドに貼っていた。
上司は「早いね」と一言。その場は特に問題にならなかったが数日後、別のメンバーが一言「あれ、あのイラストにちょっと寄せすぎてない?」
結局、その画像は差し替えとなった。
誰でも気軽に作れる時代
生成AIを仕事で使う場面は、ここ一年でかなり増えていて、資料作成、SNS投稿、広告用のバナー、ちょっとしたキャラクター画像まで、誰でも気軽に作れる時代になっています。
その一方で、トラブルの相談も増えているようで、多いのは「既存のイラストやロゴに似すぎている」「実在の人物に近い顔が出てしまった」というもの。
もともと生成AIは、大量の既存データから特徴を学び、それを組み合わせて新しい画像や文章を作り出す仕組みなのですが、学習元に近い作風や構図が多く含まれていれば、出力もそれに近づいてしまうのは、ある意味自然なことだと言えますよね。
肖像権についても、特定の有名人に似た顔や実在の人物を思わせる画像が、意図せず生成されることは多々ありますし、AIは「誰かに似せよう」と考えているわけではありませんが、結果として似てしまうのを避けるのは難しい。
責任の所在はどこに?
「AIが生成した」からといってAIに責任があるのでしょうか?
問題はそこではなく、実際にそれを選び、公開し、業務で使うと判断したのは人間です。
その判断に対して、利用者や企業側に責任が発生するというのが基本的な考え方となります。
だからこそ重要なのは、「AIが作ったから大丈夫」ではなく、「AIが作ったものを、どう確認して使ったか」という視点であり、社内で共有するだけの資料であれば、大きな問題になることはないのでしょうけど、外部に公開する広告やSNS投稿となってくると話は変わってきます。
似ている素材に気づけなかったこと自体が、企業側の管理不足と見なされる可能性も十分にあるからです。
必要なのは、難しい法律知識を覚えることではなく、社内で共有できる、小さな確認ルールをつくること。
- 外部公開する前に、似た画像がないか一度検索してみる
- 実在の人物に見える顔は、そのまま使わない
- 文章はAI任せにせず、必ず人の目で手を入れてから公開する
こうした基本を決めておくだけで、リスクの大部分は避けられますし、実際に運用してみると、この一手間はそれほど大きな負担になりませんし、大問題を引き起こしてしまったことを考えると、手間暇なんてことは言っていられません。
生成AIは、便利さと引き換えに「確認する手間」を人間側に求めています。
AIが作ったものだからこそ、最後にもう一度、人の目を通す。
その一手間が、思っている以上に会社、そして個人をも守ることになります。

