Sunoの学習データ問題、生成した曲の商用利用にも影響する?

学習データ AIニュース

音楽生成AI「Suno」が、YouTube Musicなどから大量の音源を収集し、AIの学習に使っていた可能性が報じられましたね。

流出したとされる内部資料には、YouTube Musicから200万件を超える音源を集めたことを示す情報が含まれていたとされています。

Sunoで作った曲をYouTube動画や広告に使っている人にとっては、自分の生成曲にも影響するのかが気になるところではないでしょうかね?

今回のように学習データの集め方に問題が認められた場合、公開や収益化もできなくなるのでしょうか?

いまのところ、すべてのSuno生成曲が著作権侵害になると決まったわけではないのですが、Sunoから商用利用権を与えられていたとしても、生成曲の著作権保護や第三者の権利を侵害しないことまでは保証されていないことを認識しておいた方が良さそうです。

「YouTube Musicから200万件超」は確定した事実なのか?

まずは、流出資料を基に報じられた内容と、Suno自身が認めている内容を分ける必要があります。

Ledge.aiは2026年7月20日、流出したとされるSunoのソースコードから、YouTube Musicの音源200万件超を収集した可能性が判明したと報じており、The Vergeも、流出したコードや収集手順を示す資料には、2023年から2024年にYouTube Music、Deezer、Geniusなどから音源や歌詞を集めたことを示す情報が含まれていたと伝えています。

ただし、「200万件超」という数字は、Sunoが公表した公式な数字ではなく、あくまでも流出したとされる資料を報道機関が分析して示した数字であり、Sunoや第三者機関が検証済みの数値として扱うことはできません。

Sunoは報道機関への声明で、同社のAIモデルを、インターネット上で公開されている音楽ファイルと関連メタデータを使って学習させたと説明しているものの、報道された収集元、件数、取得方法のすべてを認めたわけではありません。

公開された音楽を学習に利用したというSuno側の説明と、YouTube Musicから200万件超を収集したという報道上の主張は、同じ確度の情報ではないということには注意が必要です。

学習データ問題と利用者による生成曲の公開は別

今回の問題には二つの段階があり、一つは、SunoがAIモデルを開発する際、既存の録音物を学習データとして利用したことで、もう一つは、完成したAIモデルを使って利用者が曲を生成し、公開や収益化を行うこと。

UMGやソニー、ワーナーなどのレコード会社は2024年6月、Sunoが著作権で保護された録音物を許諾なく複製し、学習に使ったとしてアメリカで訴訟を起こしており、RIAAが公開した訴状では、既存曲と似た出力が生成された事例などを根拠に、原告側が著作権侵害を主張しています。

とはいえ、これはあくまでも原告側の主張であり、訴状が提出されただけであり、Sunoの学習方法が違法だと裁判で確定したわけでもなく、その後、ワーナーは2025年11月にSunoとの訴訟を解決し、ライセンス契約を結んでいます。

また、学習段階での複製に関する争いと、個々の生成曲が既存作品を侵害しているかどうかは別の問題で、今回の流出報道だけを根拠に、Sunoで作られた曲が一律に侵害物になるとは判断することはできません。

有料プランの商用利用権と著作権は違う

Sunoは、ProまたはPremierプランの契約中に生成した曲について、利用者に商用利用権を付与しており、Sunoの公式案内では、ストリーミング配信、映画やテレビ、ゲームでの使用、楽曲の販売などが可能とされています。

無料のBasicプランで生成した曲は、原則として非商用利用に限られていて、生成後に有料プランへ加入しても、無料プラン時代の曲へ商用利用権が自動的にさかのぼって付与されるわけではありません。

Sunoは、特定の曲について例外的に遡及利用を認める場合があるものの、保証はしていないと説明しています。

ここで区別したいのが、次の三つ。

  • Sunoとの契約上、その曲を商用利用できるか
  • 生成曲が著作権で保護されるか
  • 生成曲が第三者の著作権などを侵害していないか

有料プランで与えられるのは、主にSunoとの契約上の商用利用権であり、Suno自身も、商用利用権を付与することは著作権保護を保証するものではないと明記しています。

米国著作権局の報告書では、純粋にAIが生成した部分は著作権保護の対象にならず、人間が加えた創作的な表現は個別に判断するとされています。

現在一般に利用できる生成AIでは、プロンプトの入力だけでは、通常、出力された表現を人間が十分に制御したとは認められないという見解です。

とはいえ、これは米国法を前提としたものであり、日本を含むほかの国・地域で、個別の生成曲がどこまで保護されるかを直接決めるものではないことも理解しておきましょう。

公開や収益化の前に確認したいこと

今回の報道によって、Sunoの利用を直ちにやめる必要があるとはいえません。

ただし、収益化した動画、企業広告、ゲーム、有料販売などへ使う場合は、少なくとも三つの確認が必要です。

まず、曲を生成した時点の契約プランで、現在有料会員であっても、無料プラン時に作った曲へ商用利用権が付くとは限りませんので、対象曲の生成日時と契約履歴を確認する必要があります。

次に、既存作品との類似で、商用利用権がある曲でも、既存曲の旋律や歌詞、録音された音そのものなどが含まれていれば、第三者の権利が問題になる可能性があります。

単に特定の歌手の「雰囲気に似ている」というだけで著作権侵害が決まるわけではありませんが、本人の声と誤認させる表現などでは別の権利問題も浮上してきそう。

そして、最後に、人間がどこまで制作に関与したか。

自作の歌詞を使った、旋律や構成を具体的に編集した、演奏や編曲を加えたといった人間の創作部分は、著作権を検討するうえで意味を持ってきます。

ただし、作業を加えれば曲全体が必ず保護されるわけではありませんし、制作ファイルや編集履歴を残し、人間が担当した範囲を説明できるようにしておくといいかもしれません。

企業広告や有料コンテンツなど、問題が起きた場合の影響が大きい用途では、Sunoの利用条件だけで安全性を判断せず、知的財産権を扱う専門家への確認も検討すべきです。

自分を守るための知識を。

SunoがYouTube Musicから200万件超の音源を収集したという情報は、流出資料に基づく報道であり、公式に確定した数字ではありませんし、Sunoは、インターネット上で公開された音楽ファイルを学習に使ったと説明していますが、収集元や取得方法を巡る主張のすべてが確認されたわけではありません。

今回の報道だけで、Sunoから生成された曲が一律に著作権侵害になるとは判断できませんが、有料プランの商用利用権があっても、生成曲の著作権保護や第三者の権利を侵害しないことまで保証されるわけではないことを理解しておきましょう。

公開や収益化を行う場合、曲を生成した時点のプラン、既存作品との類似、人間が加えた創作部分を分けて確認する必要があり、自分を守るための対抗策だけは作っておきましょう。

タイトルとURLをコピーしました